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書籍 「傷ついた日本人へ」2013年03月30日 16時14分17秒

 電子書籍のソニーストアーで、購入した書籍です。

 東日本大震災後、ダライ・ラマ14世は来日を強く望み、霊山・高野山や東北の被災地などで、多くの日本人に語りかけを行っています。最近では毎年のように日本に来ているようです。

 この書籍は、霊山・高野山での講演会で語られた内容を書籍にまとめたようです。困難や逆境を克服するにはどうすべきか、豊かになっても幸福を感じないのはなぜか、孤独や嫉妬から抜け出す方法はあるのかといった従来からの課題に対しての話があります。

 さらに今回は、震災は私たちに何を問いかけているのかという内容があります。ダライ・ラマ14世は、30年以上も日本人と関係を持っているため、最近の日本人の変化もしっかりと把握しているように思えました。心の平和を確立するためには、物質的な幸せを得るよりもずっと難しいことであり、欲望やエゴで幸福を実現しようとすれば、必ず破綻するということを忘れていけないと述べています。安易な方法で得た幸福は、やはり安易に崩れ去るものである。

 科学の力で脳の動きは、大分わかってきましたが、意識については解明ができていないことを脳学者の茂木との対談で語っています。意識を持つとは、どういうことなのか、意識はどこに存在しているものなのか。まだ医学では、意識を明らかにするところまでは難しいようです。ただし、脳の認識する働きに関しては、脳内の複雑な構造の研究が進められています。

「人間が起こしたことは人間が解決できる」の章はきになりました。自分たちの行いを見つめなおし、よい方向へと自分を奮い立たせていく、それこそが大事なことであると書かれてあります。どれほど苦しいことが起きても、どれほど困難な問題が起きても、人間は、きっと乗り越えられる。人間に降りかかって物事は、元をたどれば、ほとんどの原因は自分たちで生み出したものだからである。人間が生み出したものが因となり、廻りまわって果となり、そしてまた人間を苦しめているだけである。自分たちが生み出した問題でからこそ、それを解決できるのも人間である。

最後の章で、私たちはこの惑星に一時的に滞在しているのに過ぎず、その短時間に何かよいこと、役に立つことをして、他人の人々の幸せに寄与できたなら、それが人生の意味であり、本当のゴールだと言えるとの言葉があります。実際に講演会の会場で聞いてみたい感じがしました。

「傷ついた日本人へ」、ダライ・ラマ14世(著)、新潮社

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