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書籍 「夜間飛行」2013年03月11日 05時43分15秒

 いま本棚の整理をしています。以前から購入してあった書籍で、薄いので少し時間が空いた時に読もうと思っていました。最近、星の王子様に関するTVを見たので、急にこの書籍を読みたくなりました。日曜日に雨が降っていたので、その時間に読みました。

 書籍の内容は、南米大陸で夜間郵便飛行という新事業に挑む人たちのことが書かれてあります。命を懸けて任務を遂行しようとするパイロット達の孤高、そして、事業を続けるために不屈の精神で冷徹に当たる社長の行動などを描いたものです。さらに著者らしい、飛行に関する風景を詩情に描いています。

 この書籍は知っていましたが、読んだことがなかったので、意外に感じました。飛行士の話が中心と思っていましたが、私は途中から社長リヴィエールの存在が大きく感じました。今の普通の会社や様々な組織で起り得ることであり、何かを進めるにあたり、何かを犠牲にしていくことが必要な場合があります。この書籍を読みながら、いつの時代も人は同じことを悩んで生きているのかと思いました。

 リヴィエールは、人の弱さを黙認しない、小さい過失でも厳格に処罰していきます。しかし、物語ではリヴィエールがとがめているのは失敗であり、人物をとがめているのではないように描かれてあります。リヴィエールを描いているなかで、愛するという責務よりもさらい重い責務があるという漠然とした感覚があったとサン=テグジュペリは書いています。

この書籍には序文があったようで、アンドレ・ジッドによる序文の中で、リヴィエールの行動を解説しています。人間の幸福が自由のなかにあるのではなく、責務を引き受ける中にあるという逆説があると解説しています。義務や危険な任務に情熱をもって全力で投じ、それを遂行し終えてはじめて幸福な平安を手に入れることができると、命令を送る側も、遂行するパイロットに劣らないほどの覚悟がいる。

 リヴィエールの感情を解説する文章において、アンドレ・ジッドの序文にあった「ひとは自己のうちに最終的な目的を見出すことはない。何であるかがわからないままに従い、犠牲を払うこと、それがひとを支配するのだ。それが生きるということだ。」という文章が印象に残りました。

 一度は読んだ方がいい書籍に感じます。やはりサン=テグジュペリの書籍はいいです。ほかに読んだことのない書籍があるので、順次読んでいこうと思っています。

「夜間飛行」、サン=テグジュペリ、二木麻里、光文社古典新訳文庫

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