書籍 「菊と刀」 (9) ― 2009年02月10日 20時28分05秒

 書籍は、13章に細かく章が分かれてあり、読みやすいです。感想も内容が面白いので、各章ごとに記載していきます。

 第9章 「「人間の楽しみ」の領域」

 日本は世界屈指の仏教国でありながら、自己の欲求を満たすことを咎める禁欲主義ではない。しかし、快楽を追い求めるにも、応分の場からは逸脱することはゆるされない。日本の仏教の教えは、どこの国の仏教よりも、人はみな、いずれ仏となる可能性を秘めていると、人間の心にはもともと悪は存在しないとしている。アメリカ人は、このような説を聞かされると、放埓や放縦を是とする人生観につながると感じる。日本人は、おのれの責務を果たすことを人生の至上の仕事であると思い定めるため、幸福を追求する生き方はいかがわしい考え方であるとされる。そのため、楽しみをあきらめる意志の力は賞賛され美徳とされている。

 日本の研究者が驚いたことは、日本人が睡眠をむさぼることが楽しみの一つになっている。日本人は、いかなる姿勢でも、欧米人が到底眠れない状況の下でも眠ることができる。欧米人と比べると、性格、生活に強度の緊張があるにも関わらず、難なく眠ることができる。他の東洋の国でも見当たら特徴である。アメリカ人は睡眠を力を持続するためのに行う日課と位置づけており、大半のアメリカ人は起床して最初に考えるのが、何時間寝れたのだろうかと計算することである。ところが、日本人は寝ることを好み、危険を感じていないときは喜んで眠りに就く。それでいて、効率が悪いのにも関わらず、勉学に対してや軍隊の訓練では睡眠を犠牲にする。

 ロマンチックな恋愛も、日本人が育む人間的感覚の一つである。10世紀に書かれた源氏物語はロマンチックな恋愛を描いた小説であり、世界のどの国が生み出した大作と比べても引けをとらない。恋愛や官能的な快楽をことさら軽視する中国文化とは異なっている。この点に関しては、欧米人は中国よりも日本に近い。

 「菊と刀」、ルース・ベネディクス、(角田 安正)、光文社古典新訳文庫