書籍 「菊と刀」 (8)2009年02月08日 08時05分05秒

 書籍は、13章に細かく章が分かれてあり、読みやすいです。感想も内容が面白いので、各章ごとに記載していきます。

 第8章 「汚名をすすぐ」

 自分の名に対する義理とは、自分の評判をきれいにしておく務めのことである。それは、一連の徳目から成り立っている。日本人は、自分自身に対しておこなう攻撃的な行動はさまざまであるが、その最たるものは自殺である。しかるべく自殺すれば、汚名はすすがれ、自殺に対して敬意を払い、故人は立派な人だったという評判を取り戻せる。アメリカ人は、自殺を非難する。日本の場合、自殺は甲斐ある行為となる場合がある。状況によっては、自殺が名に対する義理を守るための最善の道となることもある。

 日本人は、常に名誉、尊敬を勝取ることが目標になっている。日本人は、「堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍んだ」後、終戦後の虚脱状態でありながら、戦勝国に対して友好的な態度を示した。アメリカ人にしてみれば、受け止めることは難しかった。日本人は、自分の住む世界において尊敬を集めることができれば、それで十分な報酬になる。一方、義理を知らない人物は軽視され、仲間はずれにされる。

 現実主義と冷静沈着な方向転換は、名に対する義理の良い一面である。日本人は、必要なのは尊敬を勝取ることであり、その目的のために使う手段を状況に従って、手に取ることもあれば放棄することもある。状況が変われば、新たな方向を目指すことができ、変わるということを道徳の問題とは思っていない。その点では欧米と異なり、追求するのは原則であり、イデオロギー的な問題に関する信念である。

 戦後の日本人の心境についての説明は違和感があります。著者の考えを信頼性を上げるための日本の過去の出来事を、事例としてあげているが、若干、漕ぎ着けのような感じがします。しかし、日本に一度も来たことがなく、資料や在日人の話だけで、日本人の心境に関して、結論まで述べていることは理論的にかなり困難な仕事に感じました。著者の日本人に対する個人的な印象を聞いてみたくなりました。

 「菊と刀」、ルース・ベネディクス、(角田 安正)、光文社古典新訳文庫