書籍 「資本主義はなぜ自壊したのか」 (4)2009年09月07日 05時49分20秒

 図書館で借りて読んでいる書籍です。知っているようで、知らなかったアメリカの立場が見えてきます。いま、ローマ人の物語を読んでいるため、宗教国アメリカと古代ローマ、日本の違いが感じられます。

 書籍では、アメリカ建国当時や南北戦争のことなどが書かれてあり、その下でのアメリカ人の思想の説明があります。非常に興味深い内容でした。この書籍だけでなく、他の書籍を読んで、アメリカの歴史を知りたいと思っています。

 自由という民主主義と市場経済を世界に広めていかなくてはならない。当然アメリカは、日本、さらにアジア、そして、アフガン、イラクに広がっていくことになった。この自由の布教をしなければ、神から与えられたアメリカが存在している意義がなくなってしまう。さらにアメリカを特徴づけるのは、個人主義であることです。一人がいい思いをすれば、他の人が割りを食う、だから、日本のような社会では他者との協調が求められるし、利害関係を上手に調整する能力を持った人が評価されている。しかし、アメリカは自らが率先してリーダーシップを発揮し、他者を引っ張っていく人が尊敬される。

 アメリカは中東まで入り込むことで、もうこれ以上、アメリカの思想を押し付けることが困難になってきている。まさに大きな大転換期にきている感じがします。アメリカは、国内の格差是正と、財政の立て直し、基軸通貨国としての信用の向上を目指さなくてはならない。これができなければ、世界各国はアメリカを見放すことになるのではないかと思います。

 国間の格差是正や環境、平和などのためにも、アメリカのみの思想ではない新しいグローバル資本主義が必要になります。そして、アメリカは宗教国であるため、まだ困難な問題があります。それは、環境問題です。一神教は、自然と共存するという思想が本来ない。アメリカは、侵すべからざる権利を神によって与えられているゆえに、すべての人間は平等に作られている。そして、神は自然も人間と同時に創造した。そのため、自然を管理し、征服することが神から人間に与えられた使命であると考えるのがキリスト教である。一神教以前の人間は、自然を神聖なものとして捉え、動物や自然を克服するという考えはなかった。

 これからの人類は、自然との調和、自然との共存共栄を目指す価値観を持っていく必要がある。日本は、自然に対して素朴な信仰心を持っている数少ない国である。こからは、ますます、日本人のような自然観が大切なものとなっていく。世界的な環境問題の中で、自然との共存を実践していけることを示せるのは日本であるように感じます。

 書籍では、日本再生への提言として、所得の再分配率の向上を訴えています。OECDなどのデータから、いまの日本の状況や過去の状況と比較し、格差が広がる方向にあることを示しています。そして、安心・安全な社会を実現するために、所得の再分配を行い、貧困率を下げていくことが重要であることが書かれてあります。そのための医療や年金、税制の改革に関して書かれてあり、具体的な方法が説明されてあります。グローバル資本主義の自壊を防ぐためにも、アメリカ一国主義ではなく、欧州、日本などで資本の動きに制限を加えて、協議しながら政策を決めていくことが必要である。適切な統制ができれば、不必要に資本主義が拡大せず、国間の格差も拡大しない方向を模索し、環境や紛争問題にも解決の糸口を見つけることができるように感じました。

 この書籍で印象に残った言葉は、「何よりも我々の欲望というものの制御を学ばなければならない」ということです。この書籍は、思っていたよりも、中身が深くて、わかり易く解説されてあり、読みやすかったです。

 「資本主義はなぜ自壊したのか」、中谷 巌、集英社