書籍 「資本主義はなぜ自壊したのか」 (3)2009年09月06日 06時56分15秒

 図書館で借りて読んでいる書籍です。

 グローバル資本主義を推進するアメリカとは、いかなる国なのかが述べられてあります。アメリカは、宗教国家、理念国家として、第二次大戦後に自由と平和の光り輝く国であった。しかし、近年のアメリカは、大儀なきイラクへの派兵、マネー・ゲームの横行と破綻、格差社会など、豊か、自由、平等の国としてのイメージが感じられなくなってきた。

 アメリカという国の特殊性を理解する必要があると著者は述べています。社会や国家というのは土地の上に成り立つ、土地と結びついた人々が社会を構成し、文化が生まれ、国家が形成される。アメリカは、理念国家であり、国民の大多数が移民であり、文化的伝統とか民族的歴史といったものが存在しない。そのため、議論する上で、文化的、歴史的要素を入れることは馴染まない。そのために議論は、あくまで理論的で、理論で勝つ人が、勝者なのである。

 日本人やヨーロッパ人からすると、論理だけでは上手くいくとは限らず、特に人間は、感情や情緒、非合理な存在であると考えている。ヨーロッパ人は、アメリカがいかにグローバル・スタンダードであるとアピールしても、理屈は正しいが、人知では知りえない落とし穴があるのではないかと発想する。そのため、アメリカ人の強引な行動に眉をひそめる。アメリカ人は、そのようなヨーロッパ人に対して、敗北主義にすぎないとの発想をする。アメリカ人は、わが国こそがリベラルな民主主義、リベラルな市場原理主義の本質を知っていて、それを世界に普及する使命を持っていると信じて疑わない。この使命感は、アメリカの建国の時代から来ている。

 アメリカの建国は、イギリス国教会の宗教的迫害を逃れてきたピューリタンが、メイ・フラワー号でマサチューセッツ州に上陸した1620年に始まるとされている。このとき、船上で交わされたメイ・フラワーの誓約「理念と契約に基づく共同体」こそが、民主主義アメリカの精神的原点になっていることが知られている。しかし、この時の移民者は、貧困からの難民であり、大きな活動にはなっていないようです。この10年後に、イギリス国王は、裕福なピューリタン1000人に、勅許を出して、アメリカに真の宗教に基づく「新しい国家」をつくり、本国イギリスの堕落した教会や国家を改造し、ひいては全世界をつくりかえることを明確なビジョンをたてて送りました。そのピューリタンの中に、ジョン・ウィンスロップというカルヴァン主義者がいたことで、その後のアメリカのDNAが決まったと言っても過言ではないと考えられているようです。

 この書籍は、非常に内容が幅広く、書籍を読んでいるとアメリカの歴史書を読みたくなってきます。それ以上に、やはりイギリスという国は、過去に様々なことを行い、過去から現代の世界に大きな影響を及ぼしていることが感じられます。アメリカは、思念国家で宗教国家であることを考慮して、行動を見ないと、アメリカ=グローバルでないことがわかってきます。

「資本主義はなぜ自壊したのか」、中谷 巌、集英社