書籍 「自由からの逃走」 ― 2014年05月11日 09時21分54秒

エーリッヒ・フロムの書籍を読みました。今回、読んだのは、「自由からの逃走」というタイトルの書籍です。この書籍の初版は昭和26年で、購入した書籍は平成25年で120版でした。書籍「愛すること」の前に書かれた書籍であり、内容は「愛すること」で書かれている内容を詳細に説明している感じです。
書籍の最後の文章が気になりました。自然の生産力、技術、地理的要素などの客観的な要素、外的条件などの社会構造に対して、人間は自分自身を変化させて対処し、自身の法則にしたがって生起し、心理的な力も形成されていく。これをフロムは社会的性格という言葉で表現をした。
社会的性格は、社会構造に対して人間性がダイナミックに適応していく結果生まれる。社会的条件が変化すると社会的性格が変化し、新しい欲求と願望が生まれる。これらの新しい欲求が新しい思想を生み、人々にそれらの思想がうけいれやすいようにする。これらの新しい思想が、こんどは新しい社会的性格を固定化し、強化し、人間の行動を決定する。
社会的条件は、性格という媒体を通して、イデオロギー的現象に影響を与える。性格とは、社会的条件に対する消極的な適応の結果ではなく、人間性に生得的な生物学的要素と、歴史的進化の結果を内包する要素にもとづく、ダイナミックな適応の結果である。
この書籍は、思っていたよりも内容が深く、社会心理学のテキストにもなるような専門的な内容でした。やはり第二次世界大戦中に書かれた書籍のため、独裁者の心理に関する内容なども多くあり、その後の心理学の研究に利用されている感じがしました。
訳者のあとがきでは、この書籍ではフロムの社会的性格という発想が大きいことが書かれてありました。
「自由からの逃走」、エーリッヒ・フロム、日高六郎、東京創元社