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書籍「戦う操縦士」2020年02月16日 07時02分24秒

 著者の生きていた時代と、現在が近づいている感じがします。自身や自国の中心の考え方が支持されている世の中で、異なる考えを持つことの自由や、それを受け入れることの寛容が必要になってきている。書籍は、戦争の中の情景を描かれてあるので、やはり戦争の悲惨さなどがあり、さらに生きていくこと、その理由へと考えが広がっていきます。

 この書籍の説明では、ドイツ軍の電撃的侵攻の前に敗走を重ね、機能不全に陥ったフランス軍。危険だがもはや無益な偵察飛行任務を命じられた「私」は、路上に溢れる避難民を眼下に目撃し、高空での肉体的苦痛や対空砲火に晒されるうち、人間と文明への“信条”を抱くに至るとあり、後半は、かなり難しい表現になっています。

 この書籍で気になったところは、これまでは自分と肉体とを同一視し、肉体を失うことは自分を失うことだと思っていたが、肉体の価値が単なる事物と変わらないところまで追い込まれると、本当に大切なものがあらわれてくる。人間にとって重要なのは肉体などではなく、「さまざまな関係の結ぶ目」であり、重要なのは「自分が結ばれているもの」だけである。そのことを見出して、生と死のはざまで一瞬一瞬が新たな誕生となる濃密な時間を送ることになるというような文章が残りました。

「戦う操縦士」、サン=テグジュペリ、鈴木雅生、光文社古典新訳文庫

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