能「巴」(喜多流)2013年05月11日 17時55分42秒

 この能の作者は不明なようです。解説では、演技する方も、見る方からも人気のある曲目であるとの説明で、能のストーリー展開の説明がありました。

能の内容は、木曽の僧が都に上る途上、琵琶湖のほとりの粟津が原というところに差し掛かります。そこで神前に参拝に来た女と出会いますが、女が涙を流しているので不審に思い、理由を尋ねます。 神前で涙を流すのは不思議なことではないと述べ、僧が木曽の出だと知るや、粟津が原の祭神は、木曽義仲であると教えて供養を勧めます。そして、自分が亡者であることを明かし、消えてしまいます。 僧は里の人から、義仲と巴の物語を聞き、先の女の亡者が巴だとわかります。 夜になり、僧が経を読み、亡くなった人の供養をしていると、先ほどの女が武者姿で現れます。女は巴の霊であることを知らせ、主君の義仲と最期を共に出来なかった恨みが執心に残っていると訴えます。そして、義仲との合戦の日々や、義仲の最期と自らの身の振り方を克明に描き、執心を弔うよう僧に願って去って行くのでした。

 シテが前半と変わって、後半の長刀を持って武者姿で登場します。長刀を大きく振り回しながら戦の状況を再現します。思っていたよりも大きく、戦いの場面は印象に残るような激しい動きでした。さらに、木曽義仲から女性であるため、木曽へ帰るように命令される場面なども、泣きながら命令を受け入れるところなどもありました。

 最後のシテの言葉で、敵が遠くへ逃げていったことから「今はこれまでなり」と言って、義仲のもとに戻ることにします。しかし、義仲はすでに自害していました。亡くなっている義仲に御暇申しつつ、遺言通りに木曽に向けて、悲しみのなか一人で去っていく。最後は、非常に悲しい舞台でした。また機会があれば、見てみたいです。