能「二人静」(観世流) ― 2014年06月30日 00時04分58秒
能の「二人静」は、一度見てみたいと思っていた曲目でした。シテとツレが同じ衣装で舞台に上がり、同時に舞うのは印象的です。
能の内容は、頼朝に追われている義経と静御前は吉野へと逃げるが、追ってから義経を逃がすために、静は追手の目の前で美しい舞で時間を稼ぎます。そして、義経を救うことができました。吉野は、静の物語の舞台になっています。
ある時、神前に添える花を摘でいると不思議な女が現れます。女からは、神官に供養してくれるように依頼するように頼まれます。花摘み女は、神官に話をしますが、相手にされません。しかし、その途端、花摘み女の様子が急変します。静の霊が取りついた。神官は、静の霊なら美しい舞を踊ることを要求します。そのための衣装が必要のため、静は神社に収められている衣装を持ってくることを要求します。静は衣装を着替えて、舞を始めると、まったく同じ静の霊が現れ、花摘み女と霊が同時に舞を始めます。
静御前の登場から通常と異なり、はじめは姿を現さずに声だけが聞こえます。はじめは、前シテは姿を見せないのかと思いました。しかし、少しだけ姿を現し、依頼だけしてすぐに消えてしまいます。地謡がいつもよりも人数が少なく、半分の人は途中から入ってきました。
二人の静の舞は、ゆったりとした舞で、動きが大きく、常に二人で舞います。しかし、舞が終わり、二人の動きに違いが出てきて、最後に静御前の霊が、花摘みの女の肩に手をかけ、別れの感じがつたわってきます。やっと、最近、能を楽しめるようになってきた感じがします。