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能「隅田川」(金剛流)2014年03月09日 09時54分01秒

 良く聞くことのある曲目で、「隅田川」を見ることができました。解説で能の特徴や面の話があり、興味深く聞くことができました。

 能の内容は、隅田川を渡るための船着き場で、息子がさらわれて狂った母親が現れます。船頭は母親に船に乗りたければ、面白く狂って見せねば船には載せないと言い出します。母親は、伊勢物語の在原業平の歌に自らを重ねて懇願します。

船頭は心が動かされて母親や旅人を載せて対岸を目指します。対岸では、大勢の人が集まり、一年前に人買商人に置き去りにされた少年の供養が行われていました。母親は、その少年が自分の探している子であることに気づいて泣き始めます。

 船が対岸に着くと、少年のお墓に母親は連れられていきます。そこで、昨年亡くなった子の供養を始めます。そして、お墓より子の亡霊が現れ、夜が明けて、面影も消えていきます。

最後の子供が出てくるのですが、実際に子役が出演する場合と子役が姿を現さない能があるようです。今回は、姿がない能の演出でした。姿を現さない能の演出の方が少ないので、貴重な舞台を見ることができました。

この曲目は途中に中入りがなく、舞台に入ったらそのまま終わりまで能面を付けたまま舞台を続けることになります。昔から不思議に思っていましたが、やはり演じるのは人なので誤ってしまうことがあります。

今回、能の舞台から目測を誤り落ちてしまいました。ここで一時中断するかと思いましたが、すごいです。能の舞台は中断することがありませんでした。能の舞台の正面の階段をゆっくりと上り舞台に戻り、後見が衣装の乱れを直すと、そのまま進行していきます。一切、余分な会話はないように見えました。

 解説では、今回の能面は非常に貴重なものだという紹介があり、転落した時に能面に傷が入っていないのか心配でしたが、面には傷がないように思えました。このまま演じられるのか不安でしたが、しっかりと最後まで何もなかったように進行していきました。

 私は、この能は実際に子供が出てこない方がいいように思えました。子の亡霊を母親だけが感じ、その子と手を取り合っているような姿を見る舞台の方がいいように感じました。最後まで、悲しい感じの能ですが、最後に子供と会えたということが印象が残ります。

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