書籍 「人口論」 ― 2013年08月25日 06時34分45秒

最近、古典文庫を読んでいなかったので、読んでみたかった書籍から購入して読みはじめました。
前半は、人口の増加は等比級数的に、一方、人間の生活物資の増え方は等差級数的であり、そして、人口増加の性欲はなくならないという内容の検証が続きます。そして、貧富の差が増大して、それを改善するためにイングランドでは救貧法があり、貧乏人のために徴収された多額な金が支援されたが、貧乏人の生活は改善しない。それは、生活物資の値段が変わらなければ問題ないが、お金を得たことで物資を購入すれば価格が上昇し、結果として、貧乏人の生活は改善しないことが書かれてあります。
農業や産業などの話があり、様々な当時の論者の意見を交えて書かれてあります。
後半は、精神論のような話になっていきます。人生の厳しさが才能を育てるのである。家族を養うために努力することが、自分の能力を開花させるのである。努力することがなければ、能力はそのまま眠ったままである。
この世に悪が存在するのは、絶望を生むためではなく、行動を生むためである。悪を自分自身から、そして、自分の力がおよぶ範囲から除去しようと最大限の努力をすることは、すべての人間の利益であると同時に、すべての人間の義務である。人間がその義務をはたすべく努力すればするほど、人間の精神は改善され、向上するであろう。
人口と食料の問題が書かれてあり、さらに貧富差に関する内容が、現代も続いている課題になっています。やはり全員が中流の世界がいいのかもしれません。資本主義の悪い部分を浮き彫りにしているため、その後、資本主義や共産主義の影響を与えたように感じます。いつの時代も同じような大変さをかかえて、人間は生きているのが感じられます。
「人口論」、マルサス、光文社古典新訳文庫