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書籍 「社会契約論」 (3)2008年11月24日 21時19分53秒

 各章ごとに内容が詳細に書かれてあり、その章の内容がタイトルからわかるようになっています。各章ごとに読んで、気になった文章をまとめました。

 社会契約論 第3編

 政府は、主権者の召使いにすぎず、法律の執行と社会的な自由、政治的な自由の確保を任務とするものである。政府は、国家という団体とは異なる存在として、自己保存のために使われる力と、国家の維持のために使われる公共の力をつねに区別しなければならない。政府は人民のためにつねに自らを犠牲にするように心がけ、自らのために市民を犠牲にしないようにしなければならない。政府は人為的な団体であり、同じく人為的な団体である国家により作られたものである。

 その政府の形態は3つに分類でき、一般に民主政は小国にふさわしく、貴族政は中程度の国、君主政は大国にふさわしい。どの政体にも矛盾があり、難点がある。しかし、国家はつねに誕生から滅亡へ向かう。国家の滅亡後は、また新たな国家が誕生する。

 政府の形態に関係がなく、常に主権を市民が維持するためには、人民集会を開くことしかない。臨時、廃止、延期もできない定例集会を、定められて日に合法的に行う必要がある。もし、国家が大きく、市民が多く存在するならば、決して首都という存在を設けずに、政府が各都市で順番に回り、国家の会議を開くことになる。全土の住民は同一の権限を持たなければならない。

 もし市民たちの主要な仕事が公務ではなくなり、自分の身体を使って奉仕するよりも、自分の財産からお金を支払って奉仕することを望むようになると、国家は滅びに瀕している。真に自由な国は、市民はすべて自分の手でおこない、代用はさせない。自分の義務から逃れるために金品を渡すようになると、市民の心の中は公的な問題よりも私的な問題のほうが優先されてしまう。国事に関して、市民の誰かが「それがわたしに何の関係があるのか」と言い出したら、すでに国家は滅んだと考えるべきである。

 主権の譲渡や代表という考えはありえない。イギリスでは、人民が自らが自由だと考えているが、自由なのは議会の議員を選ぶ選挙の間だけであり、選挙が終われば人民はもはや奴隷であり、無にひとしい。権利と自由の前には、不便や手間などは問題ではない。人民がなすべきことを、人民自身が行う。

 社会契約の維持を目的とした人民集会の開催にあたり必ず2つの議題を別々に採択しなければならない。 第1議案 政府の現在の形態を維持したいと思うか。 第2議案 人民は、いま行政を委託されている人々に、今後も委託したいと思うか。  もし、満場一致で社会契約を破棄するならば、国家の基本法もすべて破棄できる。

 「社会契約論」、ジャン=ジャック・ルソー、(中山 元)、光文社古典新訳文庫

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